「進めなまけもの」

神様が俺に見せた変な夢。
会社に行く途中の公園の芝の上で長男やら犬の人、ほかにうちの会社を引退・引退予定の人が何かの仕事を終えて雑談している。その横をおいらは歩いて職場に向かう。が、なぜか引き返す。10mほど引き返して「あれ?あ、だめだ、これ以上戻ったらだめだ」と思い再び振り返って会社へ向かって歩き出す。もう一度その集団の横を通る時、長男が「がんばれよー。やる気はないだろうけどー」って声を掛けてくれた。「あぃーっす」って返事はしたものの、まるでやる気がでる気配がなかった。
ここ数日長男たちと一緒に仕事して(夢なので設定もコロコロかわるのね)、普通長男たちの仕事っぷりを見れば、気分にむらはあれど奮い立つ気持ちになれるのにな。その気持ちすら起こらないなんてなんて硬くなってしまったのかな。それでも足は進めていた。
しばらく歩くと上り坂になっていて、気づくとすごい高台に上っていた。というよりコンクリの高い塔の上になっていた。先に進める手段もないし、一休みしてその塔のてっぺんに腰かけ職場の敷地を見下ろす。いろいろ考えた。この会社のインフラ、守っていけるかな。ちゃんと時代や状況やニーズにあわせて変化させることができるかな。ボーっといろいろ考えた。
数分すると誰かが同じ塔に上がってきた。同僚で同期の男の子だ(こんな子は実際にはいない。あの顔は小学校時代一度だけクラスが一緒になった男の子だな。脳みその引き出しってすごいね。夢じゃなきゃ一生思いださない男の子だ)。そういやしばらく見かけていなかったな。「何しにここに来たの?」と聞いてみた。ひょっとしてこの子も職場の敷地を一望できるここへ来て、自分を奮い立たせるために来たのかな?と思って聞いていた。少し明るい表情の彼は黙っていた。
「何しに来たんだよ」もう一度聞いてみた。「いや、出来たからさ」と答えて顔を右に向ける。その先にはうちの職場と同じぐらいの敷地を構えた違う会社が道を挟んだ向こうにあった。彼は建設中だったその会社のインフラ構築に携わったらしい。自分が立ち上げにかかわったその会社を一望できるここに来たらしい。
「えっ?」と思ったけど、彼には十分な技術があった。知識も経験も努力も。その次の言葉をかけようとしたが「あ、アイツだ」の声に遮られ、ついでに反応して彼の視線の先を追った。もう一人の同期の男の子(これもリアルには存在しない)がこちらに向かって歩いていた。この子もしばらく見かけてなかったけど、同期ではあっても同僚じゃないから不思議はない。それまで靄がかかってよく見えなかったけど近づくにつれて変化に気付いた。見かけない作業着を着ている。
ああ、彼もそのお隣の会社に行ってたんだーと瞬時に分かった。さっきの彼より驚いた。そこまでデキるリーマンじゃない。でも努力の人で存在は地味だけど確実に仕事をこなす。誰かが彼を見込んでその戦力を欲したのだろう。
構築の彼も、作業着の彼を見て理解したんだろう「あ、一緒に作ってたんだー」と嬉しそうな顔をした。
おいらは二人を誇らしく思いながらもなんだかすごく泣けてきた。祝福する気持ちもすごいあって「おー!!スゲーな!!」っては言ったけど目は晒せなかった。

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別にうちの会社にいることがダメってことじゃないんだかんねっ!!